「上映本数が多くて、どれから観たらいいのかわからない・・・」といった声にお応えして、「妖怪」、「特撮」、「映画」のスペシャリストの方々にお気に入りの1本と、そのオススメポイントを教えて頂きました。ご鑑賞の手引きとしてご活用ください‼※敬称略/五十音順

私の1本/朝倉史明(編集者):『鯨神』骨太な人間ドラマと豪快なアクション、そして見事な特撮の、幸福な融合。漁村中の呪詛を背負う鯨神の禍々しい造形。鳥影が水面に乱舞するシーンの美しさとさりげなさ。傑作!私の1本/逢香(妖怪書家):『妖怪大戦争』(2005)人間の「こんばんは」に妖怪達が「こんばんは」と返す。対等な距離感が絶妙。ユーモアもあり本気の仕掛けに溢れ、妖怪側からの言葉が心に刺さる最高の妖怪映画だと思う。私の1本/大槻ケンヂ(ロックミュージシャン):『ガメラ対大悪獣ギロン』ギロン最高!ガメラ怪獣の中でも極めてチャイルディッシュで凶悪。手裏剣出すのもやば過ぎるが、完全に「中に人入ってます」感バリバリのお尻から膝周りの造形にやられる。話もアシッドで長州力いうところの「飛ぶぞ!」なやつ。私の1本/おかもとえみ(ミュージシャン):『宇宙人東京に現わる』パイラ人は心が広い。映画を観た後パイラ人みたいな人がタイプ!って言いたくなる事間違いない。随所に出てくる赤が素敵…と、思ってたら色彩指導は納得の岡本太郎氏!色にも注目。私の1本/切通理作(批評家):『妖怪大戦争』(1968)怨みの世界の住人たる幽霊ではなく、怖さと裏腹な愛らしいキャラも持つ妖怪が、チームとなって西洋妖怪に立ち向かう。もともと土地民俗に呪縛されているのかもしれない存在である妖怪が、国を超えて対決するのはまさに「ゴジラVSコング」妖怪版!テレビ放映で観た日、幼心に興奮して何度も場面を反芻したのを思い出す。大画面しかも4Kで再会できるのが楽しみだ。私の1本/佐藤利明(娯楽映画研究家):『妖怪百物語』五歳の時、銀座大映で観ました。「ゲゲゲの鬼太郎」で夢中になっていた、妖怪たちが銀幕に蠢めく姿に心躍らせました。襖に描かれた傘小僧が抜け出して、ルーキー新一をペロリとする場面に大笑い。ろくろ首のリアルさに戦慄。幼き日の銀幕体験は今に繋がっています。私の1本/田口清隆(映画監督):『小さき勇者たち~ガメラ~』合成班として思い出の作品。冒頭のアバンガメラがギャオスに啄まれるカットは、合成済みを画面に映し、ハンディカメラで寄ったり引いたりを撮影。それをトラッキングしてあのカメラワークを作りました。私の1本/ダニエル・アギラル(日本映画史家・エッセイスト):『怪談雪女郎』かの小泉八雲も憧れた昔話の無理のない膨らませ方に感服させられた。藤村志保のこの世の物ではない瞳から雪をも溶かす泪かな。

私の1本/出口寛泰(音楽レーベル「Salida」プロデューサー):『牡丹燈籠』正統派時代劇の格調を保ちながら、作曲家 池野成による金管低音を駆使した恐怖のサウンドと耽美な愛のテーマが、ロマン・ホラーの世界を織りなす傑作!!私の1本/特撮のDNA展制作委員会:『大魔神怒る』魔神様のかっこよさ此処に極まれり! あの眼、あの鼻、あの口許!暴れっぷりも凄まじく、夢なら魘されること間違いなし! 湖を割る魔神様の英姿を4K修復版でぜひ。私の1本/のむみち(「名画座かんぺ」発行人):『怪談蚊喰鳥』女一人に男二人、幽霊よりも厄介な生きた人間の欲の絡み合い。野心的な劇伴が、盲目の按摩・船越英二の怪演を引き立たせ、ヤバさ倍増!中田康子の色気も、良し。必見です!私の1本/原口智生(アニメ特撮アーカイブ機構 修復師):『釈迦』“映画”においての“超大作”とは真にこの映画の事だ!大映オールスター演技陣の豪華さ!壮大なファンタジー!圧倒的な一大絵巻!私の1本/氷川竜介(アニメ特撮研究家):『東海道お化け道中』修復版を拝見して驚愕!セットの作り込み、スモークと照明の遠近感など絵づくりが妖怪世界が見事です。「技術の大映」を再確認できる逸品。私の1本/松本肇(視覚効果):『首都消失』当時合成用マスクの撮影部だった私は、物体Oを人物越しに合成するために、ダブルマガジンを使ったバイパックという技法で複雑なマスクを作っていました。何度もテストして苦労した思い出があります。アナログの極みです。今一度観てみたいです。私の1本/三池敏夫(特技監督・特撮デザイナー):『大魔神』怪獣ブームの中で制作された『大魔神』は堪忍袋の緒が切れた神様が暴れまくる大スペクタクル時代劇。巨大なミニチュアセットは瓦一枚一枚見事な出来です。私の1本/みうらじゅん(イラストレーターなど):『大魔神』三部作怪獣ブームだった最中、荒ぶる巨大埴輪という発想がスゴ過ぎて夢中で観た。しかも何とこの三部作、一年間で撮られたもの。未だ大魔神の血走った眼を思い出しゾッとすることがある。

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