時代に呑まれ、狂わされ。 動乱の世を生きる二人の愛憎が交差する、 詩的で壮大なクィア・エピック。 儚く妖艶なレスリー・チャンの姿が鮮烈で、 未だに心を奪われたままだ。
サントラを持っている。 劇場での興奮そのまま渋谷のWAVEに駆け込んで ゲットしたっけ。 あの調べが聞こえると、 トァンとチョンが目の前に現れるけれど、 やはり何度だって劇場で観たい映画。
レスリー・チャンが狂おしいほど妖艶で、 残酷なほどに美しい。 時代と運命に翻弄されていく人々の姿は、 今でも脳裏に焼き付いて離れません。 それほど衝撃的な作品です。
生涯忘れられないシーン、というのがある。 蝶衣の幸せと苦悩。絶頂と奈落。 全てが凝縮されたラストの一瞬は、私の心に傷を残した。 その痛みの意味を知った時、 私は少し大人になれたのだと思う。
あの時代だからこそ存在する人間の動きや雰囲気が 凄く考えさせられる。 現代ならば、小豆と石頭はこんなに回り道をしなくて 済んだはず。 時代に恵まれた事を改めて実感した。
中国、香港、台湾の合作など非常識だった時代に、 各々の地の最高の映画人たちが手を携えた。 これ1本で新しい歴史を作るのだという 煮えたぎるような意志が、 あらゆるショットに漲っている。
修行とは、芸とは、生きるとは、宿命を背負い、 「性」を越えて表現する。 蝶衣は、二度と繰り返してはいけない歴史の中で、 藝術として生きた。 その激動がこの映画の中にある。
激動の中国における京劇という、 それだけでも興味を惹かれる世界を描いた映画なのに、 その中には、古い価値観と新しい価値観、 ジェンダー観、イデオロギー、家族観、 すべてにおいて二項対立では議論しきれない 複雑さがあった。
中国映画の金字塔とも評されるこの作品、 本当に何度観ても味わいが尽きることがない! もう5回繰り返し観ていますが、観るたび圧倒される。 毎回噛み締めるように観ました。 日本の方は中国の近代史や戯曲知識を事前に 知っておくと、この映画の素晴らしさが更に分かると 思います。
己の力ではなす術がなく、 時代の流れに翻弄される人々の姿を天意と言うならば、 この試練はあまりにも過酷すぎる。 レスリーが麗しく舞い、傷ついて散る。 魂の権化、蝶のように。
歴史の濁流が狂い出す時、 愛も恩義も理想も夢も命も、あらゆる物事が かくも軽く映るのかと胸を締め付けられる。 時を越えて蘇る名作に ただただ打ちのめされ、言葉を失う。
時代に呑まれ、狂わされ。
動乱の世を生きる二人の愛憎が交差する、
詩的で壮大なクィア・エピック。
儚く妖艶なレスリー・チャンの姿が鮮烈で、
未だに心を奪われたままだ。
サントラを持っている。
劇場での興奮そのまま渋谷のWAVEに駆け込んで
ゲットしたっけ。
あの調べが聞こえると、
トァンとチョンが目の前に現れるけれど、
やはり何度だって劇場で観たい映画。
レスリー・チャンが狂おしいほど妖艶で、
残酷なほどに美しい。
時代と運命に翻弄されていく人々の姿は、
今でも脳裏に焼き付いて離れません。
それほど衝撃的な作品です。
生涯忘れられないシーン、というのがある。
蝶衣の幸せと苦悩。絶頂と奈落。
全てが凝縮されたラストの一瞬は、私の心に傷を残した。
その痛みの意味を知った時、
私は少し大人になれたのだと思う。
あの時代だからこそ存在する人間の動きや雰囲気が
凄く考えさせられる。
現代ならば、小豆と石頭はこんなに回り道をしなくて
済んだはず。
時代に恵まれた事を改めて実感した。
中国、香港、台湾の合作など非常識だった時代に、
各々の地の最高の映画人たちが手を携えた。
これ1本で新しい歴史を作るのだという
煮えたぎるような意志が、
あらゆるショットに漲っている。
修行とは、芸とは、生きるとは、宿命を背負い、
「性」を越えて表現する。
蝶衣は、二度と繰り返してはいけない歴史の中で、
藝術として生きた。
その激動がこの映画の中にある。
激動の中国における京劇という、
それだけでも興味を惹かれる世界を描いた映画なのに、
その中には、古い価値観と新しい価値観、
ジェンダー観、イデオロギー、家族観、
すべてにおいて二項対立では議論しきれない
複雑さがあった。
中国映画の金字塔とも評されるこの作品、
本当に何度観ても味わいが尽きることがない!
もう5回繰り返し観ていますが、観るたび圧倒される。
毎回噛み締めるように観ました。
日本の方は中国の近代史や戯曲知識を事前に
知っておくと、この映画の素晴らしさが更に分かると
思います。
己の力ではなす術がなく、
時代の流れに翻弄される人々の姿を天意と言うならば、
この試練はあまりにも過酷すぎる。
レスリーが麗しく舞い、傷ついて散る。
魂の権化、蝶のように。
歴史の濁流が狂い出す時、
愛も恩義も理想も夢も命も、あらゆる物事が
かくも軽く映るのかと胸を締め付けられる。
時を越えて蘇る名作に
ただただ打ちのめされ、言葉を失う。